STEP0|出口から考える:バケツの穴を塞ぐ

──早期退職は「採用できない」より深刻な問題


「採れたのに、辞められた」ほど、つらいことはない

せっかく手間と費用をかけて採用したのに、
数ヶ月で辞めてしまった──。そんな経験、ありませんか?

多くの企業は「どうやって応募者を集めるか」ばかりに目を向けがちですが、
本当に見直すべきは、「採用した人が辞めてしまう原因」のほうかもしれません。

実際、早期退職が繰り返されることは、採用できないことよりも、ずっと深刻な問題です。
それはまるで、底に穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなもの。

だからこそ、採用活動を始める前にまず立ち止まって考えてほしいのです。
採用の“STEP1”に入る前の“STEP0”として、「なぜ辞めてしまうのか」を見つめ直すこと
それが、本当に意味のある採用の出発点です。


早期退職は、組織に長く暗い影を落とす

やっと採れた人が辞めてしまうと、
それは単なる「1人の退職」では済みません。

現場では、教育のやり直しが必要になり、他の社員の負担が増えます。
「またか…」という空気が職場に流れ、雰囲気も重くなります。

さらに、人が定着しない会社としての評判が広がれば、
次の採用にも悪影響を及ぼしてしまう。
早期退職は、企業の信用資産さえも削り取ってしまう可能性があるのです。


採用は「何人来るか」より「何人残るか」で見るべき

本来、採用とは「人数合わせ」ではありません。
組織にとって大切なのは、長く一緒に働ける人との出会いです。

そのためには、まず「なぜ過去に辞めたのか?」を正しく分析することが大切です。

・仕事内容とのギャップ
・雰囲気や人間関係
・成長機会の不足
・期待と現実のズレ

こうした原因を見逃したまま、また新しい人を採ろうとしても、
同じことの繰り返しになるだけです。


やめない採用は、採る前に始まっている

「理想の人材を採りたい」と思う気持ちは、どの企業も同じです。
でも、理想的な人材が必ずしも“長く働ける人材”とは限りません。

実は、スキルや経歴よりも、「価値観の相性」や「会社への共感」が定着率に大きく影響しているんです。

そのためには、選考で相手を見極めるだけでなく、
会社側も“本当の姿”を誠実に伝えることが必要です。

都合の良いことだけを並べても、
入社後に「こんなはずじゃなかった」と思われれば、
結局は離職のリスクが高まるだけ。

“やめない採用”を実現するためには、
最初から「ありのままの職場」「大切にしている価値観」をしっかり伝えることが、
なによりの定着施策なのです。


採用の第一歩は「出口をふさぐこと」から

人材を集めることより、辞められない組織にすること。
その視点に立つだけで、採用活動の質は大きく変わります。

STEP0=出口設計から考える採用とは、
単なる“数合わせ”ではなく、“信頼関係を築ける人材”と出会うための視点です。

「採る前に、辞めない仕組みを整える」
「採ってもすぐに辞めてしまう…」と感じたら、まず“STEP0”から見直してみてください。


採用のバケツに空いた穴を一緒にふさぐことで、これからの採用が変わります。